「私は御津木 華み つ き はな月鬼つきおにの一族の長の娘よ」
 貴女は? と美少女改め華は促す。
 月鬼というのがよく分からなかったが、朔は促されるまま名乗り返した。
「私は、村崎 朔……です。……あの、助けてくれて……有難う御座います」
 そういえばまだ助けて貰った礼をしていなかったなと思い感謝を口にする。
 何故だか少し照れくさい。
 感謝の言葉など何度も口にしているというのに。
(でも……)
 心からのものとしては、とても久しぶりであった。
 だからだろう。心からの感謝を口にするのが多少気恥ずかしく感じるのは。
「そんな、いいのに。……と言うか、私達結局何も出来なかったし」
 確かに朔が助かったのは里桃が見逃してくれたおかげだ。
 だが、そもそも刀を突き付けられたときに彼等が里桃の邪魔をしてくれなければ朔は死んでいたのだ。それだけで感謝してもし足りない。
「いえ、あのままだったら本当に殺されていたと思うから……有難う御座いました」
 もう一度、礼を言う。
「そう? じゃあ、えっと……どういたしまして」
 華は照れくさそうにしながらも礼の言葉を受け取った。
「でも、私はそんなに役に立たなかったし。そういう意味では月人つきひとの方が役に立ったしね」
「つきひと?」
 聞いたことの無い名前に疑問を持つが、すぐにそれは自分を助けてくれたもう一人の少年のことだと察した。
「ええ、覚えてる? 私と一緒にいた男の子。月に人でつきひとと言うの。私を守護してくれてるのよ」
「守護?」
「そう、さっきも言ったけど私は月鬼の長の娘なの。女の鬼……しかも月鬼の女鬼はあまり生れないからとても貴重で、だから私は一族の跡取りを産むべき大事な存在。だから守護してくれる人が付いてるの」
「……はあ」
 また出てきた月鬼という言葉。
 月鬼というのが何の事を指すのか分からないまま朔は生返事をする。
 だが華は朔の様子など気にも留めていない風で頬笑み、言葉を続けた。
「でも朔か……。髪の色からもしかしてとは思っていたけど、月の名前ってことは私と同じ月鬼の一族の子なのね。仲間に会えて嬉しいわ」
 朔は、目蓋を数回しばたたかせ彼女の華やかな笑顔を見る。
(何か、最近似たようなことを聞いたような……)
 ちょっとした既視感きしかんのようなものを感じ、記憶を辿たどる。
 その答えにはすぐ行きついた。





本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース