少女が、息を切らせながら木々の間を走り抜ける。
枝先に当たっても構わず走るので、肌には小さな傷が多く、制服は所々破れている。
だが、そんなことを気にする余裕は
(早く――早く逃げなきゃ)
それだけを思い、少女は走っていた。
朝、いつものように学校へ登校するところだった。
一人で起き、一人で支度をし、用意されてあった朝食を一人で食べて外に出た。
授業を受けるだけの学校に楽しみなど一つもないが、ただ義務的に登校する。
少しいつもと違うとすれば、ちょっと体がだるいくらい。
でもそれも気にするほどのものではなかった。
そんないつもと変わりない朝。
そう、変わりないはずだった。
あの人達に遭遇するまでは……。